おかたさま……。[どうしたの、と問う声に、今の出来事をどう説明すべきか思い悩みつつ、手の中の白を見る。命竜の王はその白と、幼き竜とを見比べ、それから、ふわり、黒橡の髪を撫でた。理屈はともかく、いとし子が良き時間を過ごした事、それは感じられたから。戻りましょう、と促す声に頷き、立ち上がる。それから、真白を乗せた手を、空へと向けた。真白はぴぃ、と短く鳴き、空へと飛び立つ]……また……。[小さくも、確りとした羽ばたきで空へと消える翼を見やりつつ、呟いた言葉はどこへ向いたのか──]