ふぅん、違うの。《陽炎》。[戻って行く龍をそれ以上追うことはせず。口の中で呟けば、両掌から生み出される青い炎が地面に真横に拡がって行く。自分と相手の間を分けるように引かれた炎の境界は、踏み越そうと思えば簡単に超えられる程度の高さ。しかしその熱は通常よりも高く、大気を揺らがせる]さぁて、と。[変わらずの軽い口調で、とん、と地面を蹴って、境界線より更に後ろへ。但し揺らぐ大気の向こう側、その眼は先ほどまでと違った真摯なもの。左右の指の間には3本ずつ、計6本のナイフ]