わっ。
出てきちゃ、ダメ!
[直前の講義で、木人形を魔力で動かすという実習をしていて。
けれどどうにも上手く自律させられず、動物の形をしてたら上手く行きそうかもしれないと、近くにあったもので試してみたら。今度は妙にしっかり掛かって、解除ができなくなっていたたらしい。
担当導師に呆れられ、鞄に仕舞ったはずの人形に慌てて手を伸ばすと、ぴょいと逃げられてしまった。
結果、エーリッヒの胸を掴むような格好になり。おおっとか、周囲から驚きの声が上がる]
や…。
[自分から触れたのにビクンとなりつつ、手を離して飛び離れれば。
猫人形は、エーリッヒの肩の上で愉しそうに尻尾を揺らしていて。
丁度魔力が切れたらしく、ゆらりと揺れて、床に落ちた]
ごめんな、さいっ!
[ばたばたと仔猫の人形を拾い上げて鞄に押し込み。
ぺっこん、と音がしそうな勢いで頭を下げ、踵を返して逃げ出した]