― 狭間 ―…、…ううん。[力無い謝罪>>561に、ふる、と左右に一度首を振る。彼の所為じゃない、と伝えたくとも。自分の拙い言葉によって、更に天鵞絨を翳らせてしまうのを避けるよう。]……ライさんのピアノだから。ずっとずっと、何度でも聴きたかった、の。[その言葉は、存在の証を求めていたかのようにも、感じて。触れ得た両腕で、ぎゅう、と彼の身体を抱くのに、少し遅れて感じるのは、]……っ…、[同じよう、己が身を抱き締めてくれる腕の感触。胸が詰まる。朱の花咲く彼の胸元へ埋める頬が、自然と緩み]