― 生徒会室 ―
[いつの間にか学校を包む空気が変わっていた。
友梨と慎太郎の会話は意識に留めぬように心掛けたか
入り口に佇んだまま気配を抑え口を挟むことはなかった。
彼らの話がひと段落ついた頃だろうか。
応急手当のされた誠の傍へと歩み寄る。
血の気の失せたその顔を見詰める男の表情は読めない。
懐から取り出した紙切れ誠の額にぺたりと押し付けた]
『今はただ 恨みもあらじ 我が徒らの
命に替はる 我が身と思へば 』
[意識の無いだろう彼にポツと紡いだ句]
学長の残した言葉だ。
人狼役となったキミたちも、さ。
学長にとっては変わらず大事な教え子だったンだと思うよ。
殺すくらいなら殺されることを選ぶ、なんて……
残された者の気持ち、考えて欲しいよね。