[魔女の一族である事を人に知られるのは、最も避けるべき事。守護妖精の承認を受けて暮らしているとはいえ、他所の土地での魔女の評価は多種多様。旅人の多く立ち寄るこの地だからこそ、秘匿しなければならない事で]でも、仕方ないですよねぇ。あの場で力を使わなかったら、きっと、もっと大変になっていましたし……。はあ……でも、御師匠様が戻られたら、叱られてしまいますねぇ。[ため息混じりに呟き、薬品棚の戸を閉める。振り返った窓の向こうには、蒼い夜空と、そこにかかる真白の月]