……母は、殺されたんだ。
アーヴァインに。
[二人に背を向け、月を見上げる。
襟首に人差し指を引っ掛け、指先で喉を触った。]
本当の所は如何かは知らない。
夜盗が、母を襲った時、
アーヴァインから送り込まれた。
そう聞いただけで…、
[其れが本当かはアーヴァインに確かめてはいない。
だから例えば、それがアーヴァインに対して
敵意を持っている者の仕業だという事は十分に考えられた。
事実、]
アーヴァインがそんな事が出来るか、
俺には、判断出来なかった。
[この邸を包んでいた柔らかい音々の中では。]