[先ほど、けなげに振舞っていた盲目の少女の無事。
ベアトリーチェが病を癒し、健やかに成長するようにと]
[頭痛をこらえる瞼の裏に、ベアトリーチェの隣で、彼女を庇うように動いていたノーラの姿が浮かんだ。もし、もし特効薬が存在し、病が治るなら。きっとベアトリーチェには保護者が必要だ。それも、女性の]
[―― ひどく勝手で、無責任な願い。
自分が彼女の隣に並ぶことは考えなかった]
[だって、教え子たちを結果的にこうして裏切っている自分は、病が治癒し、ここから生きて出ることなど許されないと思う]
[親子にたとえられた時の、ノーラの暗い表情は気にかかる。
けれど、かなうなら。本当に、かなうなら]