─ 階段 ─
[足を踏み出し、見上げた階段。
駆け抜けて行くブリジットを追い掛けようとして、ノーラが膝を付くのが視界に入る。鮮やかに映る血のように紅いワンピースの色。黒髪がさらりと流れ、翳りを帯びた線の細い彼女が、エーリッヒにブリジットの事を頼む様子が見て取れた。ブリジットが編まれた髪を揺らして立ち止まる。]
[星はその命が尽きるまで輝きを消す事はない]
[いみが ないなんてことはない]
[かえる] [行こう]
[…なら、決まりだ。全員で…ここを出よう]
[サファイアブルーの両眼を瞬かせることもなく、交わされ、まじわる言の葉を聴く。心を通わせるように触れ合おうとするブリジットの手とその先にある指先を見守る。
──それから階段をのぼり、彼等に合流した。]