─菜園─
[呼び方が普段のものから変わり、瞳を瞬く。軽い驚きは内に秘め、紡がれる声を聞いた]
…………………。
[逸らされること無くこちらを見詰めて来る瞳。逸らせなかったのか、逸らさなかったのか。こちらもイレーネを見返す形となる]
……私、を……?
[長い間そうして来たように、誰かと添い遂げるなどと言うことは考えて居なかったものだから、告げられた言葉に驚くような声を漏らす。その間にも言葉は続き、差し出される手。確かこれは、彼女の世界での儀式の一つ]
………………………。
[その沈黙はどれくらいのものだっただろうか。イレーネにとっては長く感じられたかもしれない。沈黙の後、ディスルタンは一歩イレーネの傍に歩み寄る]