[左手でパタパタと右腕に点った青き炎を叩いて消す。ただ、切れ目の瞳は炎の壁の奥を見据えていた]
「オーヴァー マスター モクヒョウ チンモク」
[赤い目を明滅させて異界龍はバレンに告げた。視線の先では少女が膝をついているのが見える]
……………。
[それを見ると右手に持っていた槍を異空間へと戻し。今度は右手で左肩の炎を消しにかかった。そうしながらこの場を離れようとするのだが]
<あーもー! バレン!
あの子の手当てが先でしょうが! 変わって!!>
[頭の中で一際大きく叫ぶ声。足は止まり、長い髪が霞の如く消えて。左腕に取り付いていた異界龍もまたカシャリと言う音と共に∞の形へと変じ、キーホルダー状態となって腰にぶら下がった]
っ、君っ! 大丈夫!?
[背が少し縮み、短い髪に眼付きの柔らかくなった姿で男──ユリアンは少女へと近付く]