[銃を下ろし、引き金を引いた右手を、憎いものを見るような顔でじっと見る。
家の外にはユーリーとカチューシャが駆けつけていたが、声を聞くまで気付かず、また、声を聞いてもしばらくは頭に届かなかった。
「勝てるのかな」
そう言ったロランの声>>357に、ようやく顔をあげる。
不安そうにカチューシャとユーリー、自分を見ている。
それでも、その言葉にはロランの望みがこめられているような気がして。
語られる彼の飢えや渇きの衝動。
カチューシャの健気な言葉と、ユーリーの誠実な言葉。
自分には、ロランを説得出来るような言葉を紡ぐことは出来ないけれど…。]