─ 聖夜祭・中庭 ─
……ま、何はともあれ。
今年も無事に始まったのは、何より、か。
[始まった祭りの賑わいを、やや離れた所で眺めつつ、ぽつりと呟く。
それに同意するように、肩の上の水晶龍が尾を振った]
『本当にねぇ……これで、怪我人が出ていなければ何よりだったのですけれど』
……お前な。
[水晶龍が何を言いたいのかはわかっている。
もふらいおんの爪の痕は出血は止まったものの、傷が塞がる気配は一向にない。
強すぎる力の対価の一つ、自己治癒能力の低さ。
生来の体質でもあったそれは、『永劫者』となった事で、マナを直接変換しての再生、という形で補われてはいるものの。
水晶龍にとっては、『そういう問題』ではないようで]