[――年は、更に流れ。少女だった女性は、老女となって。今、まさに命の火が消えようとしていて。押しかけ弟子を兼ねた助手に、老女の字も書かれた青年の研究ノートを手渡し。エーリッヒと名乗る男性が訪れたら、老女の死を伝えることと研究ノートを渡すように厳重に言い含め。春を告げる花。その花が見ごろを迎える頃に。老女は青年の机の引き出しに入れられた、花の意匠の台座に納まった薔薇水晶のペンダント>>490を抱いて、その命の火を消した。]