[旅人は店を出て山道を歩く。
旅人の名はルークスといった。
リヒトと同じ『光』という意味を持つ名。
ルークスとリヒトは双子の兄弟だった。
双子は忌み子――。
二人同時に育てられぬと思った両親は
兄ルークスだけを育てる事にした。
弟リヒトは直ぐに修道院に預けられる事となる。
そんな話を最近になって聞かされ兄は弟に会いたいと思った。
そしてその修道院に向かう途中、先のような噂を聞いた]
『――…始末された人狼がリヒトか』
[ルークスは其れをぼんやりと理解し聲にした。
死んだと知りながらもその村と修道院を
遠目で良いから見ておきたいと思っていた]