─ 宇宙港 ─
[艦が港に到着して、エリカ達は艦を出て行った。
彼女たちを待ち構えていた男の姿を見、大丈夫だろうかと案じる色を浮かべたものの出来ることは無い。
悔しいのか悲しいのか解らない感情に目を伏せた後、彼女たちがこの場を立ち去るのを見送った。
着いていくことはしなかった。
生きている彼女達と同じ道を歩むことなど、もう出来はしないのだから。
否、生きていても同じ道など歩めなかったかもしれない。
自分には、何も無かった。
生きていたのに何も手にしてはこなかったのだと、こうなって初めて知ったのは、なんて皮肉だろう。]
…どう、なるんだろう。私は。
[呟く声も、音にはならない。このまま、消えていくのだろうか。
存在も、無かったことになって。そして忘れ去られていくのだろうか。
それが、自分が生きてきた在り方の代償だと解ってはいても。
ひどく寂しくて、哀しいものだと、他人事のように思った。**]