『あいつ、しあわせだったのかな』[同じ容姿を持つはずの双子の弟を思う。ルークスは両親と共にその愛を受け育った。弟には居るはずの両親が居なかった。何か一つ違えば境遇は正反対だったかも知れない。元は一つであった片割れへの思いは複雑なものだった]『せめて仇くらいは討ってやりたいが…… お前は其れを望むか?』[旅人は空を仰いだ。青い空に白い雲が流れてゆく]『なぁ、リヒト――…』[弟に向けた届かぬ聲が赤い意識に溶けて消える**]