[触れるそれは、かつての温もりはない。
それが彼と自分との間を隔てるものなのを自覚できた。
生者と死者、本来ならば合間見えることのない存在。
でも今、こうして一緒にいるのは幻とも違うもの]
だって……もう、アーベルに……会えない……
アーベルが、どこにもいない……。
[昔のように頭を撫でられる感触、あきれたような言葉に]
だったら、ずっと会いに来て欲しい、ぞ。
無理なら……私が会いに行く……。
[それは彼が望むはずもないこと、それをすることは彼の思いを踏みにじることになること。
それでも今は、その言葉を口にしてしまい、自分の中で、奥底でわだかまってたものに負けていたからかもしれない]