─ 道具屋 ─
[細められる双眸の穏やかさ、そこに宿る想いまでは気づけぬものの。
こんなやり取りは前にもあったな、と。
そんな思いはふと、過ぎる]
……それが、対の花。
[初めて目にする対の花、今は色違えども同じ形のそれをしばし見つめた後、内なる想いを零したのは。
経緯に複雑さこそあれど──こうしてまた、言葉交わせる事への安堵に、想い止めていた堰が綻んだから。
内に抱えて、けれど、零す先を見出せずにいたものたち。
自然と音へ変えられたのは、対なる待宵草が繋げた先への、無自覚の依存故の作用で]
……そう言われたって、仕方ねぇだろ。
同じ親から生まれて、あれだけ差があったら、さすがに気になるっての。
[仕方ないな、と言われて返すのは、どこか拗ねたような物言い。
子供っぽい表情は、ほとんど見せる事のなかった素のそれで]