人狼物語 ─幻夢─

72 天より落つる月の囁き


子守 ブリジット

― 狭間 ―

[子供の自分を、黙って迎え入れてくれた年上の少年。
彼の作る音色は楽しそうで、穏やかで、なのに何処か寂しそうにも聞こえた。
その心を、静かな天鵞絨の奥を、知りたいと思っていたのは、きっとずっと前から。
――今に成って気付くなんて、遅い、と、言われてしまうのだろうけれど。]

……ライ、さ

[ああ、と。声に成らない呼気を零した。

大切と、特別と。
差し出された真摯な言葉が、髪に添えられた指先>>600が、優しくて愛惜しくて。
一度緩んだ涙腺が、再び雫を落とそうとするのを、歯を結んで堪えるけれど、]

…、っ、

[静かに鼓膜を揺らす、小さな声。
嗚咽が一つ己の喉を引っ掻いて、真逆、表情は綻んだ。
心からの、嬉しさで。]

(616) 2012/01/22(Sun) 00:58:09

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