[その言葉を受け、『観測者』はくつりと笑う。]
「……その割りに、貴方はさほど怒ってないようね。」
わたしは、生きたいように生きる快楽主義者ですから。
その点、貴方に近いものもありましたし。
……ただ、特に『妹様』と『怨めし屋』あたりは本気で貴方をコロシタイと思ってるようなので、気をつけて……
「…………ふふふ。分かってるくせに。そんなことは『無理』だと。」
[言葉を遮り、楽しげに目を細める『観測者』。こちらも数瞬ジッと見つめ返すが、すぐにスッと目を伏せる。]
ええ。わたしたちでは、貴方の『死』にはなりえませんね。
[そう言うと、今度は空を見上げる。そこは虚空。何も見えず……]
……電脳世界の存在と融合し、群体として遍在する貴方を『殺せる』存在なんて早々居ませんよ──『蠅の王様(ベルゼバブ)』。