「……とりあえず、残りの欠片は後でよろしく。
二度はさすがに、誤魔化しきかんぜ?
『永劫者』がある種の特権持ちなのはわかってるが、限度はある」
[立ち去り際、低い声で言ってその場を離れる。
学院に来たのは三年前の騒動以来。
折りよく聖夜祭、という事もあり、滞在許可を貰って一休みしていくか、と。
まずは北館へ向かおうとした──のだが]
『……みゅ』
「ん? どーした、ツキネ?」
[その途中、マントのフードに潜り込んでいた真白の使い魔が顔を出して短く鳴いた。
額に真紅の宝石を持つ幸運の妖精は、小さな手を伸ばしてあっち、あっち、というようにある方向を指し示している]