─ 魂のみのせかい ─
[獣は、強く床を蹴る。
形のみの跳躍ではあるがその分だけ動きにも勢いはつく。
共有していた意識。
人には聞こえぬはずの聲聞いた仲間の魂を探す。
闇は獣の魂を飲み込み引き摺りこまんと四肢を絡めとる。
おちて、おちて、辿りゆく先には闇に包まれた魂のかたち>>541
手を組み横になる聖女の如き魂を見つけ、獣は闇を振り払う。
やっとのことで距離を縮めて]
『ナターリエ』
[目を閉じたままの彼女に呼びかける聲]
『一人で背負うな。
――…って、先に逝った奴の台詞じゃないか』
[常と変わらぬ軽い調子で言いやり]