―― 階段 ――
[転んだ彼に、手を差し出した。
礼を言われた。彼の口調に、自分の気分が緩んでいることが分かる]
[ぷいっと視線を逸らした。
そんなのダメだ。でも、手を取られて。
彼はすぐ離すだろうか。自分はすぐ離せるような、触れていないというような曖昧な力で、そのまま階段昇る]
[屋上の踊り場が見えてきた。
とん、と足を踏み出す。一気に空気が変わったのは、その時]
……終わった。エピだ………
[何が違うって、はっきり言えない。ただ、分かる。
上を見た。隣にいるのだろうアズマを見上げる]
[おそるおそる足を踏み出して、きぃ、と屋上のノブを捻った]