−中央部・学校−
[イレーネを見送ったベアトリーチェは、賑やかな広場から少し外れたところにある、古ぼけた建物をフェンス越しに見ていました。それはシュリセルの小さな学校です。ここからも時計塔はよく見えて、時にはチャイムの代りにもなるのでした。
幾人かのこどもたちが、校庭で遊んでいるのが見えます。そのうちの一人がこちらをちらりと見たので、ベアトリーチェをにこっと笑いました。以前に通っていた時のクラスメイトです。けれどもその子は、なんにもなかったように顔を背けたのでした。皆はひとっところに集まって、なにごとかを話し始めたようでした。
春の風が、頬を撫ぜてゆきました。]