[常ならばまた1階から始まるのに。 その時溶けて、自分が現れたのは少し変な世界だった。 自分がいる場所は常闇で。けれど、目の前には光溢れる素敵な世界。 隔てられている境目は水面みたいに脆く儚いヴェール][近くに寄って、手を伸ばす。掌を滑らす。 あんなに儚く見えるのに、こちらからは鋼鉄のように硬い境界][その向こうに、ぼうっと人影1つ、見えた]……露島、先輩?[何にも震わせない音が、ぽつりと溶け広がっていく。 水面に落とした一滴の黒いインクのように*]