――それでは、“一曲”。[お相手願おうか。ちろりと、下口唇を舐め上げて――カリ、と軽く親指を噛み切った。ぱたり、僅かに滴る朱。ひゅ、と空気の鳴る音と共に、朱が一振りの細身の刃へと形を変える。朱色を帯びた剣が、右掌に収まって。][向けられた一輪に、ゆるり眼を細めるとたん、と軽い音と共に一歩踏み込んだ。一気に詰まる間合い。刃を撓らせながら、繰り出すのは左腹へと横薙ぎの一振り。]