[その下で、どんな言葉を交わしたのかは、覚えていない。
もしかしたら、覚えていたくないのかも知れない。
ただ、微かに……「一緒にいたいのに」と。
そう、言われた事だけは覚えていて。
それに、どう返せばいいのかわからずにいたら──紅が舞って。
しろは、あかに。
小さな鈴が、チリン、と鳴って。
──同時に、何かが近づくのを感じ取った。
それが何かなんて当然わからないし、何より、その時は夢中で。
それを退けて護らないと、と。
そんな意識の赴くままに力を暴走させて──
意識が途切れる直前に、鋭い風鳴りの音を聞いたのは、覚えていた]