―屋上―
マルガブも何れ見えるかしら…。
…それに、――
[秋の星空には、アルゴル(メドゥーサの眼にあたる部分)が見られる。それが運命にも皮肉にも感じられた。
言葉はそのまま続けず沈黙で塗りつぶす。
そっと瞳を開いて開かれた屋上を見渡すが、カルメンの姿は見られなかった。オトフリートに知らせなければと、エーリッヒと目を合わせようとするだろう。
尋ねれば、ダーヴィッドがヘリの扉を開こうとして開かなかったとも聞けるだろうか。奥に何か倉庫らしき場所も見えたが、この事をもう一方の場所にいる人達へ伝えるべきとも思考を巡らせた。]