[寂しくなかったと言えば、嘘になる。
毎晩のように帰宅の遅い両親を、静かなリビングで、ランプの火を見つめて待った。幼い頃は先に居眠りをしてしまい、年を経てからは油が尽きる方が先だった。
どちらも、叱られた]
[やがて弟が産まれ、家族が増えた。
楽団に通うようになり、友が出来た。
その頃には父母も家にいることが多かった。
両親に演奏を教わり、誰かと共に歌うようになった。
弟が大きくなるにつれて、また両親の不在は増えたけれど、]
アーベルも音楽が好きなの?
[夜、窓に映る灯りは2階の子供部屋だった]