[転機が訪れたのは、15の時。
突然、友は姿を消した]
[同じ年、少女は「春の乙女」に選ばれた。
子供から大人へと変わり、女として見られるようになる時期のこと。
楽団の歌い手見習いたる少女は、春の訪れを祝う歌をうたった。彼女ひとりのための、晴れの舞台だった。]
ほんとうに、旅に出ることないじゃない。
7年経って帰ってきても、覚えててあげないんだから。
["Hanschen klein",
楽団に入ったばかりの頃、歌の主人公と同じ名を持つ少年をからかった。
それが始まり。終わりも。]
[ピアノ奏者を志すと言い出したのは、間もなくの事。]