[角を曲がった視界に入ったのは翠樹の仔竜と、その向こうにいるオトフリートと。嫌な予感の正体が]オトフリート様![体裁を構っている暇など無かった。ローブの左手甲部分を破り、朱の刻印に右の爪を振るう。印は流れ出る朱に埋まり、上を向けた掌に熱のない光が灯る]――Verstaerken![増幅の言葉と共に浮かび上がった光はオトフリートに向かい、望まれるままに力を変じるはずだった]