─数年後─
[それから、時の巡りを幾つか経て。
青年となった彼が選んだのは、かねてより口にしていた外の世界への旅立ち。
そこに至るまでに周囲との激突がどれだけあったかは、余談としておいて]
…………。
[旅立ちの朝、支度を整え、訪れたのは黒い森。
朝霧をまとった空間は静かで、微かに鳥の声が聞こえるのみ]
ミステル、ギース。
オレ、行くよ、外の世界に。
できれば行く前に、もう一回会いたかったんだけど……上手く行かないよなぁ。
[苦笑しながら、一つ、息を吐いて。
それから、空を見上げる。
ふわり、ふわりと軽やかに舞っていた翅を持つ友。
その翅に、村の外へ飛び立ちたい──という想いから、憧憬を向けた日々は遠い]