[母を幸せに死なせる事の出来た父は、誇らしそうにうっすらと笑みながら語っていた。それでも時折、父親が寂しそうにどこか遠くを見ているのは知っているけれど。ゼルギウスが何を想ったかは、少し不思議そうにしていた表情からは窺い知れなかったが、後に戯れのように口にしていた「何時か食べて欲しい」と言葉は聞かなくなった事でちゃんと守っているんだと、心の中でこっそり微笑んでいた。そして改めてこちらを向き直り、求婚の言葉と―――差し出されたものにうっかり言葉が詰まったのは仕方が無いことだと思う。]