人狼物語 ─幻夢─

58 Starry stone


細工師 イレーネ

…………。

[たっぷり数泊置いたのは、
父親から決して銀は素手で触るなという教えを受けていたから。

多分未来の夫の事、うっかり忘れてるんだろうな、とは思った。]

(……しょうがないなぁ、この人は。)

[内心で、溜息と苦笑と、
だからやっぱりほっとけないのよね、と言葉が零れたのは秘密。]

……はい、喜んで。

[その箱を手に取り、中から取り出した銀の指輪を躊躇せずに指にはめた。
―――後ほどリヒトに指摘されるまで、銀はそのまま妻の指を飾る事になる。

銀の不快感がチリと指から伝わったが、それに怖じ気づく事なく
頬染めたまま夫となる人に向けた笑みには、母と同じく幸せそうなものだった。

(665) 2010/08/28(Sat) 00:28:11

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