『なんのために、この力はあるのか』
『なんのために、この力は使えるのか』
[父王から無為、と断じられた事。それが棘となり、自分自身の力に意義を見出せず。
そんな惑いにある自分の様子に気づいた宮廷魔導師は、父王にある進言を繰り返すようになっていた]
「王子の力を正しく用いるお心算でないのであれば。
要とされる地を見出すためにも──東へ。
ルーの魔法学院への留学をお認めください」
[自身も魔導を学んだ学院であればきっと、王子の力は正しく伸ばされ、開花する。
ここにいて、無為に恐れられ埋もれさせるならば、と。
その進言に対し、父王が結論を出すよりも先に、その時は訪れていた]