……うん。
それでも、悪くない、よ。
ライ兄が、私のこと悪くないって、言ったように。
[確かに。人としてみれば、彼は悪なのだろうと思う。
けれど、人狼からすれば、ソレは必要な食事で。
ライヒアルト達からすれば、餓えることを強いる此方の方が悪となるだろうことは、今の身にはよく解る。]
…泣いて、ないよ?
[莫迦だ、と。許す必要はないと。
そう言って体を起こし自分をみる漆黒のその瞳を見つめた。
深い碧ではなく、金色の瞳。
これが、ライ兄の本当の色だったんだとそう思いながらじっと見つめて。]
…ライ兄の眼。綺麗な色だね。
[そう、ぽつり呟いて微笑み、漆黒を抱きしめた。]