[気がついたときには、自分の部屋に戻っていた。
異変に気づいた宮廷魔導師が、水晶龍の導きで自分を見つけ出し、保護してくれたのだと。
それを聞かされて、師でもあるその人に感謝するのと同時に──この地に生きる限界もまた、幼いながらに感じて。
留学の話を聞かされて、それを選びたいような。
病床で自分を案ずる母の傍を離れ難いような。
そんな悩みを抱えていたものの。
もう一つ、契機とも言うべきとある事件を経て、ここに来る、と。
自ら宣したのは、それから三年後、十五の歳だった]
……あれから。
結構、時間もたった……な。
[追憶をふるい落とすように軽く、首を振る。
『永劫者』──永遠を生きる者となってからの時間は、先駆たちに比べれば微々たるものとわかってはいるが。
遠き日を思い起こされる者と接したためか、つい、感傷めいた呟きが零れていた。**]