[背に回された手に撫でられる感覚。堪えていたはずの涙が雫となってゲルダの背後に落ちた]ちがう。ちがうんだ。オレ達人狼は、何もしなくても花に惹かれていくものだから。あの時アーベルに言われる前にもう、オレはゲルダが花だって朧げに気付いてたんだ。ゲルダが隠してても、オレはきっと花に惹かれて────。[言葉が続かなかった。代わりに、ゲルダを抱き締めた腕と握る手に力が篭る。身体が小刻みに震えて、泣いていると言うのもしっかりゲルダに伝わったことだろう]