>>677
[青年がいるのは小屋だろうか、それとも林檎の樹の側だろうか。
婆はのんびりと考えながらポケットのふくらみを軽く叩く。
中には青年の樹の林檎で作った黄金色の蜂蜜入りのジャム]
…そういや、林檎のジャムに蜂蜜を入れるのを思いついたのは、初めて齧った実があんまりにも酸っぱかったせいだったねェ。
もうわたしが小さかった頃を知ってるもんも数人程度さ。
昔話代わりに、坊に教えてやるのも面白いかもしれないねェ。
[毎年、この最初の樹の林檎ジャムを森番への礼と渡してきたが、レシピの秘密は教えていない。
当の本人である林檎の聖の青年が知ったらどう思うかと、婆はにんまり笑った*]