――困る?…それは、悪かったな。[言葉とは裏腹に、くつくつと楽しげに笑みを零したまま。緋色の移った白銀を相手の足元へと放り投げる。金属の高い音が、強く響いて。]返して欲しければ。 ――取り返しに来い。[嘗て、或る屋敷でも告げた言葉。青年のものとは、僅かに低い――しかしあの時と同じ響きで。ふわり。紅の名残を僅かに灯して。 その場から姿闇へと*消した*]