見ているばかりでは、退屈だからねえ。
[男の言葉>>672には、やはり事も無げにそう答えて、投げ返した稲妻の輪が、水の盾の前に霧散するのに、更に笑みを深める]
そちらもさすがと、言っておこうか。
[戦う筈の身が瞬時目を奪われる程に流麗な、まさに流れる水の如きしなやかな動きで、散じた雷と水の間を縫うように男が跳躍する]
…ちっ!
[こちらへ向かうかと思われた男が、視線を超えて上へと身を運んだ意味に気付いた時には、僅かに遅い。
彼の放った水の三日月は、振り上げたステッキの端に閃く稲妻の光を反射して、煌めきながら気球のワイヤーを数本見事に断ち切った]
……は!見事に私を引き降ろしたものだ。
[ばさりと、黒いマントを翻し、気球を捨てて空に舞いながら]
だが、それなりのリスクは負ってもらわねばな!
[次の瞬間、ワイヤーを断ち切った水の三日月に届いた稲妻が、大きくステッキを振る動きに合わせて、ぐるりと反転し、雷の輝きを宿したままで、己を生み出した男に向かって戻っていく。水と雷、二つの力を同時に散らす事が、出来るか?と、仮面が嗤う]