――…お人好しだな、ホント。
[漆黒の獣は困ったように笑う。
許される事を望んでいた訳ではないけれど
何処か認めるような音色がじわりと沁みる。
泣いてないというクロエ>>675を見詰め
金色の眸が少しだけ安堵したように細まった]
泣いてないなら良い。
あの時は泣いてたから……
また、泣いてんのかと思っただけだ。
[震えが涙の徴候でないなら恐怖でも感じているのだろうか。
人ならざる者が本性を晒して怖くないはずがない。
だから、そう思ったのにクロエのぬくもりが獣を覆う。
驚きに金は幾度か瞬かれた]
……お前さんの眸の方が綺麗だ。
[神の祝福と思う其の眸を持つ娘に抱かれて漆黒の尾が揺れた]