[部屋5に入るダーヴィッドを見送り、しばし瞠目して佇む。]私が此処に来る前、刺された事を知る者は居ないのか。先にすでに、この施設に入っていたから?私が最後の“当選者”だから?記者が大勢いたあの場での出来事を、父上でも消しきれたとも思えない。醜聞を、知られていない事に不都合は無いが。落ち着かない。[口元には自らに向けた皮肉げな薄笑みが*浮かんだ*。]