人狼物語 ─幻夢─

91 白花散る夜の月灯


司書 ライヒアルト

……逃げたく、なかった、から。
自分の、力……『見出すもの』のそれが、齎す、ものから。

[途切れがちに紡いだのは、意識を落とす直前にも漏らした言葉]

……ここに来る、少し前に。
俺、同じ状況に、巻き込まれて。

その時、望まれるままに、力、使って……同じように、月のいとし子を見つけて、でも。
……見つけた月のいとし子を、どうしても、自分では、傷つけられなくて。

[かつて、『聖歌の紡ぎ手』と称された少年の傍らにあった、『神曲の奏者』と呼ばれた楽士の話は知られていたか。
その存在もまた、『聖歌の紡ぎ手』同様、五年前から消息不明とされているのだが]

……その時、導き手として立っていた、朱花の主に、結果を伝えて……後のこと、全部、押し付け、て。
その先のこと、全部から……逃げ出して、ここまで、来て。

(693) 2014/01/20(Mon) 10:05:28

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