……そう、思ってくれた事自体が、俺には嬉しかったんだよ。
だから返したいんだ、一つでも多く。
[自分が多くを渡せているとは思っていなかった。
ただ、多くを受け取るばかりだと思っていたから。
だから、と紡いだ言葉と、差し伸べた手は共に受け入れられて。
消え入りそうな呟きはうまく聞き取れず、え? と瞬いて。
意を問おうとするものの、それより先に聞こえた言葉に、意識は移ろった]
せめて、身長くらいは勝ちたかったからな。
[冗談めかした口調で言って、笑う。
幼い頃は小柄で、周囲に身長で負けていて、それが悔しくて。
密かに伸ばす努力をしていたのは、知る人ぞ知る話]