[『あっち』で、どんな生活をしていたのかは、誰にも話してはいなかった。
ここに落ちてくる直前の出来事とも相まって、忘れたい事が多いから。
ただ、現れた時の状態──血塗れで錯乱していた様子から、只ならぬ状況だった事は伝わっている、とは思うけど]
……んでも、いつまでも、だんまりっていうのも、なんだよなぁ。
[周りが、そこを気遣ってくれているのは幾ら鈍くてもわかる。
けれど、話すには、少しだけ度胸のいる内容だから。
中々、話せずにいる──のだけれど]
……とはいえ、やっぱ。
話しにくいよなあ。
正当防衛とは言え……人、殺っちまってる、ってのは。