泣いてないよ。
泣くことなんか、ないもん。
[黄金色の瞳が自分を見て、緩く細まる。
その仕草は、人としての姿をしていた時と同じだったから。
安心してくれたのかな、と思った。
あの時のことを言われれば、子供のように甘えてしまったことを恥じて少し目を伏せるものの。
自分より先に命をなくした幼馴染はいるけれど、遺した彼女達は生きている。
それに…こうして、謝ることもできた。
それだけで、安堵している自分がいるから。]
ライ兄こそ、お人よしじゃない。
結局、自分よりひとのことばっかり。
[自分に大人しく抱かれている漆黒にそういって、綺麗だと言われた闇色の瞳を笑みに細めた。]
[漆黒を抱きしめていたから、その瞳が瞬いたのは見えなかった。]