― 自宅兼作業場 ―
[移動は確かに早かった。
早いからこそ、味気なくも感じてしまう。
目まぐるしく流れる光景が止まれば、もう家の中]
…なんだか、なあ。
[扉を開けると云う行為を要しない事実を突き付けられた感覚。
ぽつんと一人立ち尽くし、ずっと暮らしてきた場を見遣る]
[細い紐を栞代わりに通した染料の資料。
乾燥台に広がる様々な試料。保管台に並ぶ数多くの材料。
散乱という程でも無く、整然という程でも無い、
生活感に溢れすぎた部屋]
[…どうやって褪せて行くのだろう。
右腕のこの、青い花のように]