>>712
[鴉はそのまま青年の傍へと降り立つ。
続いてゲルダがやって来て。
声をかけられた青年は左手が顔の左側を覆うような形で、残る右目をゲルダへと向ける。
表情は痛みに歪み、睨むような視線になっていたことだろうか。
呼吸はやや荒く、肩が大きく上下に揺れた]
……ん、だよ。
なん、で、追いかけて、来てんだよ。
俺が気に食わないならほっとけよ!
[吼えるような声を上げる。
じわりと額から汗が滲み出て、頬を伝い、雫となり服を濡らす。
苦しげであることはその様子から明らかだったことだろう]
「ライ……少し落ち着け。じゃないと……」
[鴉が青年に声をかける。
しかしどこか言いあぐねているようだ]